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■ 年末年始休業日
2022年12月29日(木)~2023年1月4日(水)
2022年12月14日
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2022年12月5日
墓地や墓石は生前に購入した方が相続税対策になると聞きました。本当でしょうか?
先日参加した「相続セミナー」で、墓地や墓石は生前に購入した方が相続税対策になると聞きました。借金をしてまでも購入した方がよいのでしょうか?
たしかに、墓地や墓石を生前に購入された方が、相続税対策になります。ただし、借金をしてまで購入することは相続税対策になりません。
相続開始時に、被相続人(お亡くなりになったご本人)が所有していた一定の財産に対して、相続税が課税されます。
ただし、被相続人が所有していた財産のうち、墓地や墓石は祭祀財産(※)として、相続税が課税されない“非課税財産”となることから、相続税は課税されません。
他方、相続開始後に購入する墓地や墓石の費用は、相続税の計算上、財産から控除できる「葬式費用」に該当しません。
(※)祭祀財産には、墓地や墓石のほか、仏壇、仏具なども該当します。
生前(相続開始前)に墓地や墓石を購入しておくと、その分相続税が課税される現預金が減り、相続税が課税されない墓地や墓石が増えます。
一方、相続開始後に墓地や墓石を購入する場合には、墓地や墓石を購入するための現預金に対して相続税が課税され、墓地や墓石を購入する費用は「葬式費用」に該当しないため、課税対象となる財産から控除することができません。
つまり、相続開始前か後かで、墓地や墓石を購入するための現預金相当について、相続税が課税されるか否かが異なってきます。
被相続人が所有していた財産から控除できるものとして、先に述べた「葬式費用」のほか「債務」があります。
この場合の「債務」とは、被相続人が死亡したときにあった債務で確実と認められるものを指します。
ただし、この「債務」に、墓地や墓石の未払代金や借金など、非課税財産に紐づく債務は含まれません。
つまり、相続税の計算上、課税される財産から控除できない借金をつくって、課税されない墓地や墓石を購入することは、相続税対策になりません。ご注意ください。
相続に関するご相談は、お気軽に当事務所までお問い合わせください。
<参考>
国税庁HP
「No.4108 相続税がかからない財産」
「No.4129 相続財産から控除できる葬式費用」
「No.4126 相続財産から控除できる債務」
2022年11月25日
私が住む京都では「地方都市」でありながら、
技術や経営に関するセミナーが盛んに行われています。
古くから、伝統産業が続いたせいか、
機械、電気、電子といった分野の会社が多く誕生しています。
そのなかでも、京セラの経営学であり、
昨年8月に亡くなられた稲盛和夫氏の「アメーバ経営」は有名です。
会社が大きくなってくると、「大企業病」というか、
どんどん個人の役割、重要性が曖昧になり、
「自分、一人が…しても」というような考え方が強くなってしまいます。
社員が数十人の頃には、みんなが仲間同士で団結していたものが、
100人そして何百人という規模になると、
個々の顔も見えず、いくら頑張っても日の目を見ない者も出てきます。
そんな時、一人ひとりの能力を、十分に発揮してもらえるには
体制をどうしたらいいのか考えました。
考え抜いた末、創業時代に戻ってしまえば、良いことに気づいたのです。
「小さな会社」「周りの事を気遣う」「大家族のような経営」
創業当時の会社の良い所を生かし、
社員みんなが「小さな会社の経営者」になるようにしたのです。
京セラは「小さな会社」の寄せ集まり、
当然の事ながら自分の会社の利益を上げないといけませんが、
メンバー(社員)や他のセクション(仕入先、売上先)のことも
忘れるわけにはいきません。
自分が前面に出すぎると、いずれみんなからそっぽを向かれてしまいます。
稲盛氏は「利他の心」を持つことを、社員に説いて回ります。
京セラは、「セラミック」を武器にして成長を遂げていきますが、
いくら良い武器を持っていても、それを使いこなせる「人」がいなくては、
経営は成り立っていかなかったはずです。
「アメーバ経営」にも見られるように、
日本の経営には「家族主義」的な発想が流れています。
戦後の経営に多大な影響を与えた人物に、
安岡正篤(まさひろ)氏がいます。
安岡氏は、政界、財界を問わず、日本を率いていく人達に、
いわゆる「帝王学」を叩き込んだのです。
その教えを請うた人の中には、
吉田茂、佐藤栄作、田中角栄などの総理大臣経験者や
平岩外四、牛尾治朗、江戸英雄の名経営者が名前を連ねます。
「家族主義」のもととなる儒学の考え方に立ち、
中国の長い歴史に生きた指導者や思想家の生き方、
考え方から原理原則となる「帝王学」まとめ、
その時代の解釈を加えて、日本のトップに伝えたのです。
その安岡氏の考え方には、中国の儒学者 王陽明(おうようめい)が
興した哲学が流れていています。
陽明は、学問であった儒学を、実践に対応できるものとして
「陽明学」を作り上げたのです。
彼は、若くして高級官僚の試験に受かったのですが、
上司の批判をして、僻地に左遷されてしまいます。
しかし、彼はこの時期を好機と思い、自らの思考を重ねながら、
新しい学問「陽明学」を誕生させたのです。
彼のこのような経験があったからこそ、
実践的な考え方が生まれたといえるのでしょう。
弱音を吐きたくなるとき、
勉強しなければならないとき、
スランプのとき、挫けそうになったとき。
「陽明学」には、人生色々な場面で直面する事態に対して、
どのような心構えでいれば良いのかを教えてくれます。
「陽明学」から「帝王学」、
このように永く積み重ねらねられた「哲学」があったからこそ、
京セラの「アメーバ経営」が作り上げられたのではないでしょうか。
2022年11月21日
住宅及び駐車場に適した土地を選ぶポイントを教えてください。
金融資産中心の財産構成のため、将来の実需(子供の住宅用地)及び相続を見据えて、100坪程度の土地を購入し、しばらくの間、駐車場として賃貸したいと考えています。つきましては、住宅及び駐車場に適した土地を選ぶポイントを教えてください。
住宅及び駐車場に適した土地を選ぶポイントは、主に次の4点です。それぞれの詳しい内容は、詳細解説にてご確認ください。
住宅及び駐車場に適した土地を選ぶポイントは、以下のとおりです。
土地の形状は、整形地がよいでしょう。100坪(約330㎡)の土地を想定した場合、間口15m超、奥行20m超の長方形が理想の形状です。
一般的に、駐車区画は幅2.5m・奥行5m、通路部分は幅5mを目安としており、駐車1台あたりに必要となる面積の目安は25㎡(2.5m×10m)となります。前記の理想形状の場合、通路の両側に駐車区画を配置することができるため、少なくとも1列あたり8台(20m÷2.5m)、2列で合計16台の駐車が可能となり、駐車1台あたりの面積は、目安より17.5%少ない20.625㎡(330㎡÷16台)となります。
なお、最も効率のよい形状は、通路が不要となる間口65m超・奥行5m超(65m÷2.5m=26台)となりますが、住宅を含む駐車場以外の用途には適しておらず、おすすめはできません(滅多に実在しない形状でもあります)。形状の最大のポイントは間口15m超であり、15m未満や15mを大きく超える場合、16台の確保が難しくなります。
土地に接する道路は、6~10m程度の広すぎず狭すぎない幅員がよいでしょう。
将来住宅用地としてお考えであれば、土地からみた道路の方角は南、土地が角地となるようであればさらによく、理想は土地が東南角地となるような道路です。
地勢としては、平坦地がよいでしょう。高低差があると駐車場整備費用が高額となり、かつ理想形状であっても駐車台数が減少する可能性があります。また、平坦地は駐車しやすいため、需要も多くなります。
第1種・第2種低層住居専用地域を除く、住居系地域(第1種・第2種中高層住居専用地域、第1種・第2種住居地域、準住居地域)及び近隣商業地域がおすすめです。
第1種・第2種低層住居専用地域は、住環境はよいのですが、駐車場として賃貸したい場合には敬遠したい地域です。理由として、この地域は建蔽(ぺい)率(※)が低く、自宅敷地内で十分駐車場を確保できるケースが多いこと、また分譲マンションや賃貸住宅が比較的少ないため、駐車場の需要は限定的といえるでしょう。なお、準住居地域や近隣商業地域の場合、月極駐車場に加え、コインパークの需要も見込める可能性があります。
(※)建蔽(ぺい)率:敷地面積に占める建築面積(建物を真上から見たときの面積)の割合
以上のように、住宅及び駐車場に適した土地は、相続税評価において、加算の必要はあっても補正は不要の土地となります。一般的に、土地の個別要因により生じる評価(価格)の加算又は補正の程度は、相続税評価より実際の取引(実勢価格)の方が顕著であり、住宅及び駐車場に適した土地を購入することは、相続対策としても有効となるケースが多いといえます。
2022年11月7日
高齢者が契約する一時払終身保険は、相続税対策としてどのような効果があるのでしょうか。
父(78歳)が銀行から相続税対策として生命保険を勧められ、よく理解しないまま契約手続きの約束をしてしまいました。現在、父は既往症があり生命保険に加入していません。今回、高齢者でも健康状態の告知なく加入できるといわれ契約することにしたようです。父の理解が乏しいため、契約手続きに長男である私も同席する予定です。相続が発生したときに相続税が非課税になると説明を受けたようですが、私もよくわかりません。
一般的に相続税対策としてどのような効果が期待できるのか、また、契約前に確認しておくことなどを教えてください。想定する父の法定相続人は、母(配偶者)、私(長男)、弟(次男)の3人です。
預金を一時払終身保険の保険料に一括して充当することで資産が生命保険に変わり、上手く設計すれば相続税の非課税枠が適用できます。お父様の資産が多く、他に加入する生命保険がない場合、非課税枠の確保は相続税対策として有効と考えられます。また、契約前に確認しておくことについては詳細解説をご参照ください。
亡くなった人が契約者、被保険者となっている生命保険で相続人が受け取る死亡保険金は、相続税の計算上、みなし相続財産として相続税の対象となりますが、受け取る金額が「500万円×法定相続人の数」までは非課税(非課税枠)として扱われます。
今回の提案プランは、お父様が他に生命保険に加入していないことを前提に、想定されるお父様の法定相続人の数にあわせて非課税枠分の1,500万円で設定されたものと考えられます。
一般的に、下記の背景が明確なケースであれば、生命保険の非課税枠確保は相続税対策として有効と考えられます。
契約にあたっては、主に次の点に注意、確認しておきましょう。
また、おそらく今回のプランでは考慮済かと思われますが、次の点にも留意しましょう。
高齢者の生命保険契約においては、理解不十分なまま手続きを済ませ、後日、取り消したい等のトラブルが多いといわれています。トラブルを避けるためにも、お父様の意思を確認し、同席するご家族の方も契約内容を一緒に確認していただくことをお勧めします。
2022年10月31日
京都府福知山の高校生が考案した新メニューを、
カレーハウスCoCo壱番屋の福知山店が期間限定で販売しています。
共同開発メニューの販売は昨年から始まり、
好評だったことから今年も行わることになったそうです。
調理系列の2年生が一組数人で18グループを作り、
ココイチのカレーに合う商品を2カ月かけて試作しました。
店で実際に調理して従業員らが試食、
味や見た目、コンセプトの面白さなどで審査し、
「麻婆なすカレー」と「串カツカレー」が採用されました。
誰でも真似が出来るはずのカレー専門店に、
屋台骨を揺るがすほどの強豪が登場しなかったことを、
創業者の宗次徳二氏は、ソフト(面)の質が影響していると語っています。
愛知県の小さな町で、カレーの専門店として創業したCoCo壱番屋、
真似るのは簡単と、大小様々な競争相手が現れましたが、
ついに肩を並べる相手は残れませんでした。
しかし、一度だけ、同社など一息で飛ばされそうな、
大手企業が参入してきた事がありました。
カレーやお米など、その気になればいつでも手に入れることができる材料です、
作り方も主婦のほうが上手なほどで、たいした技術は必要ありません。
メニューの構成や品揃え、価格設定、販促の仕方など、
大手ならばお手のものであるはずです。
更に、店舗の内外装についても、真似することはいとも簡単、
それ以上のデザインを考えることも出来なくはないのです。
お金さえかければ、表面的なことはそっくり真似することはできます。
どうしても競合が真似できないこと、それはソフトです。
宗次氏がカレー専門店を始める前に喫茶店を開いていた当時から、
長年にわたり培った「お客様第一主義」は一朝一夕には手に入りません。
カレー専門店を始める前に開いていた喫茶店では、
名古屋名物の(無料)モーニング・サービスの提供はしなかったのです。
トーストやサラダ、ピーナッツなども、全て「有料」としたのです、
その事に文句をつけるお客はいましたが、それでも店は繁盛しました。
また、一号店をオープンしてから長い間、
店を構えられるのは一流には程遠い、ほとんどが二流以下の場所でした。
さらに、良い場所が手に入らない代わりに、派手に宣伝をしたいと思っても、
先立つ資金のゆとりもなく断念せざるを得ませんでした。
無いない尽くしの苦肉の策として、
笑顔の対応や丁寧な言葉遣い、感謝を込めた接客態度など、
来店して下さったお客様に出来る限り満足してもらえるよう工夫を重ねたのです。
そのことがクチコミで伝わり、店を支えたのは言うまでもありません。
辛い思い、苦い経験を経て体で学んだ、経営のノウハウは、
海外展開にも生かされています。
成功体験があるからといって、自己流を無理やり進めるのではなく、
顧客が求めているのは何かを、真剣に考えてこそベストなものが見つかるのです。
2022年10月20日
今回は相談事例を通じて、株式の相続についてご紹介します。
夫である甲が先日死亡しました。甲はA株式会社(以下、A社)の代表取締役兼A社株式を100%保有している株主でした。相続人は妻である私(乙)と長男の丙のみです。
丙を後継者としてA社の代表取締役に選任したいと考えていますが、どのように手続きすればよいでしょうか。なお、遺言はなく、遺産分割協議も済んでおりません。また、甲はA社の唯一の取締役でした。
まず、乙と丙で協議し、A社株式の権利行使者一人を定め、会社に通知します(会社法106条)。その後、権利行使者が株主総会に出席し、丙を取締役に選任します。
1.権利行使者について
甲が死亡し、A社株式が相続人乙と丙に相続された場合、当然に法定相続分の割合で相続されるのではなく、準共有状態となります。準共有状態の場合、株式の権利行使者を一人定めて、株式会社へその者の氏名又は名称を通知しなければ、当該株式の権利行使ができないとされています。
従いまして、ご相談のケースでは乙と丙の協議のもと、権利行使者一人を定めて会社へ通知する必要があります。また、権利行使者の指定は共有物の管理に該当するとされているため、持分価格の過半数をもって決するとされています。よって、乙と丙どちらか一方の独断で権利行使者を指定し会社へ通知することはできませんのでご留意ください。
遺産分割協議が完了しましたら、別途、株式の名義書換が必要になってきますので、忘れないようにご対応ください。
2.株主総会の招集手続きを経ていない株主総会の開催について
ご相談のケースでは、甲が唯一の取締役であるため、株主総会の招集決定及び株主総会の招集通知を行うことができません。
この場合、株主総会の有効性に疑義が生じますが、判例の考え方として、株主総会の招集手続きを欠く場合であっても、株主全員がその開催に同意して出席した株主総会は有効に成立するとされています(最判昭和60年12月20日)。
2022年10月5日
遺産分割の民法改正に伴い、相続税の申告期限は改正されましたか?
遺産分割について「10年」を経過すると、基本的には法定相続分とする民法改正がありましたが、これに伴い相続税の申告期限が改正されましたか?
ご相談の民法改正に伴う相続税の申告期限の改正は、行われていません。
これまで、遺産分割については、相続開始(被相続人の死亡)時から何年経過した後に行っても、分割方法に違いが生じなかったことから、早期に遺産分割の協議または請求をすることにつき、インセンティブが働きにくい状態でした。
しかし、遺産分割がされないまま相続が繰り返され、多数の相続人により遺産が共有されると、遺産の管理や処分が困難となり、そのような状態下で相続人の一部が所在不明となることが、所有者不明土地が生じる原因の一つとなっていました。そこで、所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直しとして、遺産分割に関する民法の規定が改正されることになりました。
たとえば、具体的相続分(※)による遺産分割に時的限界が設けられ、相続開始時から10年を経過した後にする遺産分割は、原則として具体的相続分ではなく、法定相続分によることになりました(合意があれば、10年経過後でも具体的相続分による遺産分割は可能です)。この改正は、経過措置を除き、令和5年(2023年)4月1日に施行されます。
(※)具体的相続分とは、民法であらかじめ定められている画一的な割合である法定相続分を、事案ごとに修正して算出する割合であり、特別受益や寄与分などを踏まえて算定されるものをいいます。
相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日(通常の場合は、被相続人の死亡の日)の翌日から10ヶ月以内に行うこととされています。
たとえば、10月10日に死亡した場合には、翌年8月10日が申告期限となります(この期限が土曜日・日曜日・祝日の場合には、これらの日の翌日が申告期限です)。
この「10ヶ月」という期限は、上記1.の民法改正が行われても変わりません。
なお、相続税の納税期限は、上記申告期限と同一です。
相続税の申告に際して、遺産分割協議が調わない場合(いわゆる「未分割の場合」)であっても、申告納税期限に変更はありません。未分割のまま申告納税を行います。
未分割での申告納税とは、相続財産を法定相続分で相続したものとみなして申告納税を行うことを指します。
その際には、相続税が減額できる「小規模宅地等の特例」や「配偶者の税額の軽減」を適用することができません。
その後に分割が行われた場合は、実際に相続した財産、かつ、これらの減額を適用した後で相続税を計算し直すため、結果的には相続税を減額することはできますが、一時的にしろ未分割の状態での納税は、かなりの納税資金が必要となる場合があります。
その点も良く考えて、遺産分割をお考えいただければ幸いです。
相続に関するご相談は、お気軽に当事務所までお問い合わせください。
2022年9月30日
LIXILグループ、建築材料・住宅設備機器業界の最大手で、
国内外問わず事業の拡大を積極的に進めています。
最近では、家電量販店のエディオンとも資本業務提携を結び、
リフォーム事業に力を注いでいます。
同業他社は当然のことながら、他業種からもライバルが出現する中で、
価格競争に埋もれてしまわないよう商品開発に力を入れています。
買収したドイツ企業のデザイナーや国内電機メーカーの出身者を要職に迎え、
消費者ニーズをデザインに生かし、選ばれる商品を目指します。
同グループの中核企業のひとつとなる(旧)トステム、
現在ではひとつのブランドとして展開されていますが、
アルミサッシの分野では、国内シェアトップを誇ります。
ごくあたり前となったアルミサッシも、
60、70年代にわたる団地建設ブームに乗り、一気に広がった建具のひとつです。
当時、木製の建具から新しいアルミ製へ切り替えの需要を期待して、
各地に大小のメーカーが乱立します。
業界は珠玉入り乱れた状態となり、各社があれこれ知恵を絞り、
存続を賭けシェア争いが繰り広げられたのでした。
トステムの創業者 潮田健次郎氏は家業を引き継ぎ、木製建具の小売を始めます。
程なくして、もっと大きな商いをしたいという思いで、
建具の問屋業も始めたところ、戦後の住宅需要のおかげもあり、
都内に4店舗を構えるまでに成長します。
それでも飽き足らず、自ら商品を作り出すメーカーの魅力に取り付かれ、
全財産をはたいて工場を買い取り、建具の製造に乗り出すのです。
いざ始めてみると、家内工業的な建具は大量生産には向かず、
毎月、金策に走り回る生活に陥ってしまいます。
そんな窮地から立ち直れたのは、現場の取り付け作業を簡素化した
「スピード雨戸」が予想外にヒットしたおかげでした。
当時のアルミサッシの価格は、木製の5倍から10倍もしていたのですが、
近いうちに、この状態は逆転するだろうと予想していた潮田氏は、
溜まった赤字を一掃し、アルミサッシの業界に参入を試みたのです。
既に、業界には旧財閥系の大手が参入してきていたので、
木製建具のメーカーとは規模の点で雲泥の差がついていました。
同じやり方で勝負しても、到底勝ち目はないだろうと見ていたので、
大手にはできない方法をじっくりと考えました。
大手メーカーが作るサッシは、アメリカの技術をそのまま取り入れため、
規格が決まっていて、日本の木造住宅によくある、
わずかな誤差に対応できていなかったのです。
そこで、トステムでは寸法を微調整できるサッシを開発しました。
少し考えれば出てきそうなアイデアではありましたが、
大企業のような硬直化した体制の中からは生まれてこなかったのでしょう。
それには、木製の建具製造に四苦八苦した経験が役に立ちました。
製品に目処がついたものの、肝心のアルミの仕入については手付かずだったのです。
そこで、販売先の開拓に遅れていて、
安定的な提供先を求めているだろうと見当をつけ。
アルミの精錬に参入して日が浅いメーカーにアプローチを試みます、
見事、その目論見は的中し、新商品と原料の供給源を確保することができます。
後発であるにもかかわらず、
飛躍的にアルミサッシの販売を広げることが出来たのは、
原料メーカーとパートナーシップを結べたことが最大の勝因だったのです。
2022年9月20日
令和4年分路線価の特徴をコロナ禍の影響を踏まえて教えてください。
令和4年分の路線価が発表されたというニュースを見ました。今回の結果の特徴について、特にコロナ禍の影響を踏まえて教えてください。
令和3年分と比べると、路線価は全体的に持ち直しつつあります。新型コロナウイルス感染症拡大の影響が徐々に緩和され、標準宅地の平均変動率は全国平均で2年ぶりに上昇しました。
路線価は、相続税や贈与税の申告の便宜及び課税の公平を図る観点から、国税局が毎年公表しているもので、路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額をいいます。
路線価の評価は毎年1月1日時点で、1年間の地価変動などを考慮し、地価公示価格等を基にした価格の80%程度を目途に定められています。令和4年分の路線価は令和4年7月1日に公表されました。
なお令和4年分とは、令和4年1月1日から令和4年12月31日までの期間に係る年分をいい、この間に発生した相続や贈与により取得した土地の相続税や贈与税は、令和4年分の路線価に基づき評価することになります。
令和4年分の路線価の特徴について見てみましょう。以下は都道府県ごとの対前年変動率の平均値です。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響が大きかった令和3年分の路線価と比べると、影響が徐々に緩和されたことから標準宅地の平均変動率は全国平均で2年ぶりに上昇し、前年の0.5%のマイナスから0.5%のプラスに転じました。
前年変動率がプラスとなったのは、北海道(4.0%)、福岡県(3.6%)、宮城県(2.9%)など20都道府県、残りの27県はマイナスとなりました。
次に、都道府県庁所在地の最高路線価のうち上位10都市について見てみると、コロナ禍前に地価上昇を牽引したインバウンド需要は依然として回復しておらず、インバウンドの影響により地価が上昇していた大阪や神戸は下落傾向が続いています。一方で、北海道新幹線の開業を控え、複数の大規模な再開発が予定されている札幌の上昇率が大きくなっています。
全体的には、コロナ禍が最悪の状況を脱したこと、景況感の改善や低金利環境の継続などの要因により前年と比べると上昇した地点が多く、路線価は全般的には持ち直しつつあるといえそうです。
なお、路線価は毎年1月1日時点の評価であることから、令和4年分の路線価にはロシアによるウクライナ侵攻や中国のロックダウンによる原材料不足や高騰の影響は反映されていません。また、過度なインフレ抑制のため欧米各国は利上げを実施していますが、日本は大規模な金融緩和政策を継続しており、このことが円安の原因となっている一方、我が国の不動産市場を下支えしているという見方もできます。
したがって、今後の地価動向は、金融政策の行方によって大きな影響を受けることも想定されることから、今後の推移を注意深く見守る必要がありそうです。
<参考>
国税庁HP「路線価図・評価倍率表ホームページ」