
今回は相談事例を通じて、預金債権の仮分割の仮処分についてご紹介します。
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夫が亡くなったため、相続人である私と夫の兄弟姉妹たちとの間で半年ほど遺産分割協議を続けていましたが、どうしても折り合いがつかないことから、この度、遺産分割調停を申し立てることになりました。
また、我が家の生活費はすべて夫の預金口座で管理していたのですが、この預金口座は夫が亡くなったことで凍結されてしまいました。そのため、現在は預貯金の仮払い制度を利用して、夫が亡くなった直後に払い戻した150万円を取り崩しながら生活しています。
ただ、肝心の遺産分割調停については解決の目途が立っておらず、今後調停が半年も1年も続くような場合には、到底生活していくことができません。何とか当面の生活費を確保する方法はないでしょうか。
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本件のようなケースでは、「預金債権の仮分割の仮処分」制度の利用を検討することが考えられます。以下で本制度について、概略を説明します。
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1.預金債権の仮分割の仮処分について
令和元年の相続法改正により「預貯金債権の仮分割の仮処分」に関する制度が新設されました(家事事件手続法第200条3項)。
本制度は、「預貯金債権は遺産分割の対象となる」と判示した平成28年決定により、預貯金債権が遺産分割までの間は共同相続人全員の共同でなければ行使できなくなったため、例えば被相続人の扶養内にあった相続人において、被相続人にまつわる債務の弁済あるいは生活費の支出の必要があるにもかかわらず、共同相続人の一人でも協議に同意しないために払戻しを受けることができないといった不都合を是正する目的で制定された背景があります(※1)。
なお、金融機関ごとに法定相続分の3分の1あるいは150万円のいずれか低い方の金額を上限に払戻しを認める預貯金の仮払い制度(民法第909条の2)とは異なり、本制度では家庭裁判所に対して当該仮処分を求める旨の申立を行い、裁判所から仮分割を認める決定を取得する必要があります。
2.要件
①本案が係属していること
本制度の利用にあたっては、当該預金債権が分割対象となっている遺産分割調停事件もしくは、遺産分割審判事件が家庭裁判所の事件として係属している必要があります。
②権利行使の必要性
本制度の利用により預貯金を払い戻す必要性が認められる必要があります。典型例としては、生活費の支払いや施設利用料の支払いを行わなければならない場合が挙げられます。
③他の共同相続人の利益を害しないこと
どの程度であれば、他の共同相続人の利益を害しないかについて明確な基準は決められておりませんが、一つの考え方として、仮分割を求める金額が当該預貯金債権額に自身の法定相続分を乗じた金額を上回らないこと(すなわち、請求額が自身の法定相続分に応じた金額を超えないこと)が挙げられます。
3.手続きおよび想定される効力
本制度では、仮処分の可否を決定する前に、相手方である他の相続人に意見の陳述の機会が与えられ、裁判所はこの陳述を聴取しなければなりません(家事事件手続法第107条)。
陳述の方法には、相手方が実際に裁判所に出廷して意見を述べる方法と裁判所から送付された書面に意見を回答する方法があり、いずれかの方法を経た後に裁判所が仮処分の可否を判断することになります。
仮に、仮処分が認められた場合の取得額は、本件のように生活費の確保を目的として本制度を利用した場合には、月々の生活費に本案について見込まれる審理期間(数ヶ月~1年程度)を乗じた金額になるものと思われます(※2)。
(※1)「中間試案後に追加された民法(相続関係)等の改正に関する試案(追加試案)の補足説明」(平成29年7月18日)
(※2)片岡武・管野眞一「改正相続法と家庭裁判所の実務」(日本加除出版株式会社)93頁-106頁
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年齢30歳未満の一定の受贈者が、教育資金に充てるため、一定の契約に基づき、祖父母など直系尊属から信託受益権を取得するなど教育資金口座の開設等を行った場合には、その信託受益権等の価額のうち1,500万円を限度に、一定の手続をすることで、受贈者の贈与税が非課税となります。これを「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度(以下、非課税制度)」といいます。
今回のケースに照らすと、ご家族やご親族が日常的に礼拝する先祖代々の祠ということで、上記(2)の要件を満たし、敷地部分も含めて相続税の非課税財産に該当する可能性が高そうです。
2.生命保険信託の活用事例と注意点
相続登記の義務化に関する法改正は、2021年(令和3年)4月28日に公布され、2024年(令和6年)4月1日より施行されます。
相続時精算課税制度とは、贈与を受けたときの贈与税の計算において、自ら選択することで適用することができる制度です。
1.中途解約を検討する場合の確認事項



