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2022年3月2日
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2022年2月21日
トラブルにならないための~法律の相続対策 相続登記の義務化等の施行時期

今回は相談事例を通じて、相続登記義務化の施行時期などについてご紹介します。

相続登記の義務化がスタートすると聞きました。具体的に、いつから何が変わりますか。

長年相続登記がされていないことにより、現在の所有者が不明となっている土地の問題を解消するために、不動産に関するルールが見直され、今般、施行日が定められました。相続登記に関連する改正については、2024年(令和6年)4月1日に施行されます。


1.相続登記の義務化(2024年4月1日施行)
相続や遺贈により不動産を取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。
施行日よりも前の相続開始の場合についても、適用されます。2024年4月1日よりも前に相続人として所有権を取得したことを知っていた場合には、2024年4月1日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。
また、遺産分割が3年以内に整わない場合は、3年以内に相続人申告登記の申出(法定相続分での相続登記の申請でも可)を行った上で、遺産分割が成立した日から3年以内に、その内容を踏まえた相続登記の申請をしなければなりません。
2.相続人申告登記(2024年4月1日施行)
①所有権の登記名義人について相続が開始した旨と、②自らがその相続人である旨を申請義務の履行期間内(3年以内)に登記官に対して申し出ることで、相続登記申請義務を履行したものとみなされます(登記簿に氏名・住所が記録された相続人の申請義務のみ履行したことになります)。
この手続きは、所有権を取得したことを登記するものではありませんので、遺産分割が整った場合には、相続登記の申請が必要となります。
3.遺産分割に関する民法のルール変更(2023年4月1日施行)
相続開始から10年を経過した後にする遺産分割は、原則、具体的相続分(特別受益や寄与分を考慮した相続分)ではなく、法定相続分(又は指定相続分)によることとなります。
10年を経過した後であっても、相続人全員の合意があれば、具体的相続分による遺産分割(寄与分等を考慮して法定相続分と異なる分割をすること)を行うことは可能です。
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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18歳6か月の孫へ贈与した住宅取得等資金について、非課税措置の適用を受けることはできますか?

2022年4月に孫が大学へ入学するために、上京することになりそうです。
一人暮らしを希望していることから、マンション一室を孫が購入する予定です。通学中は孫自身が利用し、卒業して他に引っ越す場合は賃貸用へ転用できる立地の良い物件を検討しています。
購入資金は私から孫に贈与して、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置を適用したいと考えていますが、適用は可能でしょうか。
気になっている点は、孫の年齢が2022年1月1日時点で18歳6か月であることと、購入予定であるマンションはリノベーション済みですが築25年を超えている点です。
なお、その他の要件はすべて満たすと仮定してください。

懸念されている2点のうち、少なくとも受贈者であるお孫さんの年齢については、令和4年度税制改正により改正されることで要件を満たすことができます。ただし適用開始日が2022年4月1日以後の贈与となる点に、ご留意ください。詳細は以下、解説をご参照ください。

1.住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置とは

父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得又は増改築等の対価に充てるための金銭(以下、住宅取得等資金)を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、一定の非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となります。これを「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置(以下、非課税措置)」といいます。
この非課税措置については適用期間が定められており、これまでは令和3年(2021年)12月31日が適用期限でしたが、これが令和4年度税制改正により2年延長され、令和5年(2023年)12月31日となります。2.懸念されている2点について
(1)受贈者の年齢要件
これまで受贈者の年齢要件は、「贈与を受けた年の1月1日において、20歳以上であること」でした。
これが令和4年度税制改正により、令和4年(2022年)4月1日以後の贈与から、“20歳以上”が“18歳以上”に引き下げられます。
そのため、住宅取得等資金の贈与が令和4年(2022年)4月1日以後であれば、お孫さんの年齢が18歳でも問題ありませんが、それより前ですと適用することはできません。
(2)築年数の要件
建築後使用されたことのある住宅用の家屋については、これまで「その取得の日以前20年以内(耐火建築物の場合は25年以内)に建築されたもの」という、築年数の要件がありました。
これが令和4年度税制改正により、令和4年(2022年)1月1日以後の贈与から、築年数要件の廃止とともに、新耐震基準に適合している住宅用家屋(登記簿上の建築日付が昭和57年(1982年)1月1日以後の家屋は、新耐震基準に適合している住宅用家屋とみなす。)であることの要件が加わります。
そのため、令和4年(2022年)1月1日以後の贈与であれば、たとえ築25年を超えていたとしても、新耐震基準に適合している住宅用家屋であれば、適用することは可能です。
なお、これまで上記築年数を超えていても、一定の書類により証明されたもの等があれば、これまでも適用することは可能でした。この点は今後も変更はないため、一定の書類により証明がされれば、これまでと同様、要件を満たすことができます。
懸念されている点については、以上のようになります。
非課税措置の適用を希望される場合には、少なくとも年齢要件を満たせるように住宅取得等資金の贈与が令和4年(2022年)4月1日以後である必要があります。
上記以外にも令和4年度税制改正により、非課税措置の内容が改正される点があります。ご不明な点がございましたら、お気軽に当事務所までお問い合わせください。
<参考>
国税庁HP「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」
財務省HP「令和4年度税制改正の大綱」PDF※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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相続した実家を売却する際に必要となる費用や注意点を教えてください。

親が亡くなり、実家を相続しました。私には持家がありますので、実家は売却することを考えています。実家を売却する際の諸費用や注意事項について教えてください。

ご実家を売却する際に必要となる費用は、主に次の4種類です。それぞれの概要や注意事項は、詳細解説にてご確認ください。
- 登記に要する費用
- 収入印紙代
- 確定測量に関する費用
- 不動産仲介手数料

不動産を売却する際にかかる費用として、主に次の4つが挙げられます。

1.登記に要する費用
登記に要する費用とは、売却対象となる不動産の登記の手続きにかかる登録免許税や、手続きを司法書士へ依頼した場合の手数料のことを指します。
売却対象となる不動産の登記手続きにかかる登録免許税としては、当該不動産に抵当権が付されていれば抵当権抹消登記が必要となる他、ご相談のケースは「相続」であるため、相続登記が必要となります。
その費用ですが、抵当権抹消登記は不動産1個につき1,000円です。また、相続登記は原則、固定資産税評価額の0.4%となります。
これらの登記手続きは自分で行うこともできますが、専門家である司法書士へ依頼するとスムーズに行うことが可能です。なお、司法書士へ依頼した場合には別途手数料がかかりますので、ご注意ください。
物件の内容次第では、手続きの完了までに想定以上の時間がかかる場合もありますので、司法書士へ手続きを依頼する場合には、早めに相談されるとよいでしょう。
ちなみに、売買に伴う所有権移転登記の手続きは、買手側が行います。
2.収入印紙代
収入印紙代とは、不動産の売買契約書に貼付する収入印紙の費用のことを指し、収入印紙は郵便局などで手に入れます。
当該費用は、契約書に記載された売買代金によって異なります。具体的な金額は、国税庁のホームページに掲載されている【印紙税額一覧表】などで、ご確認いただくことができます。
今回のご相談のケースでは不要ですが、売却する不動産が事業用の場合、売買代金等の領収証にも収入印紙を貼付する必要があります。
3.確定測量に関する費用
確定測量に関する費用とは、売却対象となる土地と隣接地との境界を確定させる費用のことを指し、土地家屋調査士へ支払います。
ご実家の土地と隣接地との境界が確定していない場合は、当該費用の負担が生じる可能性が高いといえます。また、境界が確定している場合でも、境界確定日からの経過年数や隣接地所有者の変更等によって、確定測量を行う必要が生じることがあります。
当該費用は、土地の大きさ・形状(境界点の数)及び隣接地所有者の人数等によって異なります。参考までに、土地家屋調査士に対して実施した報酬に関する実態調査の結果が、日本土地家屋調査士会連合会のホームページに掲載されていますので、URLをご紹介します。地積更正登記報酬が目安になります。■日本土地家屋調査士会連合会HP:「業務報酬統計資料」https://www.chosashi.or.jp/association/disclosure/reward/
4.不動産仲介手数料
不動産仲介手数料とは、不動産の売買が成立した際、仲介を行った不動産業者へ支払う費用のことを指します。仮に売買代金が税抜で400万円超であれば、『売買代金(税抜)×3%+6万円+消費税』が不動産仲介手数料の上限となります。
不動産業者に直接売却する場合、不動産仲介手数料は不要となりますが、当該売却代金が市場価格より低額となることがありますので、諸費用控除後の手残り額を考慮した上で、慎重にご判断ください。
今回は売却時のコストのご相談でしたが、譲渡益があれば、売却後において確定申告が必要となります。取得費が分かる書類の有無や、ケースによっては最高3,000万円まで譲渡益から控除できる特例(空き家の3,000万円特別控除の特例)の対象となるかもしれないなど、実際の税金計算をするには事前に確認すべき事項が多数存在します。最終的にお金がいくら手元に残るのか、試算されたい場合にはこの税金も考慮に入れる必要があるでしょう。
様々な要件の詳細その他税金に関するご相談は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。
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2022年1月5日
万一に備えるための~保険の相続対策 遺言による保険金受取人の変更

遺言で生命保険金の受取人を変更することは可能でしょうか。

下記の生命保険について、仮に妻が先に亡くなった場合には、世話になっている姪に受け取って欲しいと思っています。
妻が先に亡くなった時点で、私が死亡保険金の受取人を変更できればよいのですが、そうでない状況を想定して、遺言で受取人を姪に変更しておきたいと思っています。これは、可能でしょうか?【生命保険の契約内容】
- 契約者(保険料負担者):私
- 被保険者:私
- 死亡保険金受取人:妻

遺言で生命保険金の受取人を変更することは可能ですが、諸条件を満たしている必要があります。


1.保険法改正により可能となった遺言による保険金受取人の変更
2010年4月1日に施行された「保険法」で、遺言による保険金受取人の変更が可能となりました。
原則、保険法施行後の契約が対象となりますが、保険会社によってその取扱いは異なります。2.留意点
遺言によって保険金受取人を変更するときの、主な留意点は以下の通りです。(1)変更の可否を確認
多くの保険会社は「法律上有効な遺言であれば、受取人に指定できる方の範囲に定めはない」としているようですが、変更可能な受取人の範囲を約款で決めている保険会社もあります。遺言書を作成する前に、必ず受取人として指定できるかどうか、確認するようにしましょう。(2)遺言書の記載内容
遺言によって保険金受取人を変更するときは、どの保険契約か特定できるような情報を遺言書に記載します。
この場合の「情報」とは、保険会社、証券番号、契約者、被保険者、保険種類、契約日などが該当しますが、特定できれば複数の情報の記載は必要ありません。
遺言書の例文
第〇条 私は、私が契約者となっている次の生命保険契約における死亡保険金受取人として、姪◇◇を指定する。(保険契約の表示)
①〇〇生命:証券番号00000000000
②■■生命:証券番号11111111111
③▼▼生命:証券番号22222222222(3)遺言による保険金受取人の変更手続き
遺言による保険金受取人の変更手続きを行うには、保険契約者の相続人が遺言による保険金受取人変更について保険会社に申し出なければなりません。その際に、一定の書類の提出が必要な場合があります。
必要となる主な書類は以下のとおりですが、保険会社によって異なるため、予め約款などで確認したり、保険会社へ問い合わせをしたりするとよいでしょう。
- 申し出をするための書類
- 遺言書の写し
- 検認済証明書の写し(遺言が公正証書遺言でない場合)
- 保険契約者の戸籍謄本
- 相続人もしくは遺言執行人の印鑑証明書
これらの他にも、被保険者の同意が必要であること、保険会社の取扱要件を満たすことや、遺言書自体が法律上有効でなければならないなど、遺言による保険金受取人の変更には留意点があります。
相続に関するご相談は、当事務所にお気軽にお問い合わせください。
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2021年12月20日
トラブルにならないための~法律の相続対策 遺産分割における不動産の評価額

今回は相談事例を通じて、遺産分割時に用いる不動産の評価額についてご紹介します。

亡夫の財産について遺産分割をしたいと考えています。私たちには子がおらず、夫の両親もすでに亡くなっているため、相続人は私と夫の姉の2人です。主な財産は自宅不動産と預貯金で、不動産は現在居住している私が相続したいと考えていますが、遺産分割の際、不動産はどのような評価額を基に話し合いをすればよいでしょうか。

不動産には固定資産税評価額、相続税評価額、時価など様々な価格の捉え方がありますが、遺産分割の際には、基本的に相続人全員の合意があればどのような評価額を基にしても問題ありません。
各相続人が取得する遺産の割合についても、法定相続分は定められていますが(民法900条)、相続人全員の合意があれば法定相続分に関わらず、分割の内容や取得割合を自由に定めることができます(民法907条)。


価格の基準としては、以下の評価額があります。
(1)固定資産税評価額
公示地価の約7割を目安に設定されているといわれています。
不動産ごとに価格が決定されており、相続税評価のように単価を調べる手間や計算が不要なため最も扱いやすいものの、実際の取引価格よりも低いことが多いため、不動産を相続しない相続人の合意が得られない可能性があります。
(2)相続税評価額(路線価、倍率評価)
公示地価の約8割を目安に設定されているといわれています。路線価は国税庁が毎年発表しており、インターネットで調べることができるため、不動産鑑定評価とは異なり、費用をかけずに参照することができます。こちらも実際の取引価格よりは低い場合が多いため、合意を得られない可能性があります。
(3)不動産仲介業者による査定
不動産仲介業者等が算出する売却見込み額です。査定対象の物件と条件が似た直近の近隣の取引事例を参考に査定する方法が多く採用されています。依頼先によって金額に多少の違いが出ることがあります。
(4)不動産鑑定評価
不動産鑑定士が不動産鑑定評価に関する法律に基づいて土地や建物などの適正な地価、価格などを判断したものです。最も信頼性が高く、遺産分割調停・審判においては重宝されています。
ただし、不動産鑑定士による評価は一般的に費用が高額になることが多く、相続人が費用負担を望んでいない場合は、調停・審判においてもこのほかの評価の使用が認められています。
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2021年12月10日
年末年始休業日のご案内
弊事務所の年末年始休業日をご案内します。
ご不便をおかけしますが、何卒ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
■ 年末年始休業日
2021年12月29日(水)~2022年1月4日(火)
2021年12月6日
お金に困らないための~税金の相続対策 住宅取得資金の贈与 贈与者との関係

義父からのマイホーム資金援助について、贈与税の非課税の特例は適用できますか?

マイホームを取得するために親族から受けた資金援助については、一定の金額まで贈与税がかからない特例があると聞いています。
私は年内にマイホームの取得を予定しており、その取得資金の一部について義父から援助を受ける予定です。この場合、この特例は使えますか?
なお、義父と養子縁組はしていません。


ご相談のケースにおける義父からの贈与は、マイホームを取得するための資金援助に係る贈与税の特例、「住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例」は適用できません。

1.住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例
マイホームを取得するための資金援助に係る贈与税の特例(住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例、以下、特例)は、様々な要件があります。そのうちの1つに贈与者と受贈者との間柄があります。
贈与者と受贈者との間柄(要件):
受贈者は、贈与を受けたときに贈与者の直系卑属であること
→言い換えると、
「贈与者は、贈与をしたときに受贈者の直系尊属であること」2.直系尊属、直系卑属

直系尊属(卑属)の“直系”とは、自分を中心に縦の関係にある者をいいます。
(1)直系尊属
“尊属”は、自分を中心に上の者、つまり前の世代を指します。
よって直系尊属とは、自分からみて父・母・祖父・祖母などを指します。
(2)直系卑属
“卑属”は、自分を中心に下の者、つまり次の世代を指します。
よって直系卑属とは、自分からみて子・孫などを指します。3.義父は直系尊属?
ご相談のケースは、“義父”からの贈与でした。
“義父”は、受贈者と養子縁組をしている場合を除き、受贈者からみて直系尊属には該当しません。
そのため特例の要件に該当せず、適用を受けることはできないことになります。
この“義父”との間の贈与については、暦年課税による贈与税の計算の際の贈与税率にも影響があります。
暦年課税による贈与税の計算の際の贈与税率は、『一般税率』と『特例税率』があり、特例税率の方が『一般税率』に比べて税率が低い傾向にあるのが特徴ですが、“義父”との間の贈与は『一般税率』を適用することとなります。
なお、この特例を適用するための要件は、上記以外にもたくさんあります。マイホームを取得するための資金贈与をお考えの場合には、まず当事務所へご相談ください。
<参考文献>
国税庁HP「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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2021年11月22日
家と財産を守るための~不動産の相続対策 令和3年都道府県地価調査の結果と土地の相続税評価

令和3年の「都道府県地価調査」の結果は、令和3年分の土地の相続税評価に影響を与えるのでしょうか?

令和3年の「都道府県地価調査」の結果が発表されたというニュースをみました。今回の結果の特徴について教えてください。また、今回の結果は令和3年分の土地の相続税等の評価に何らかの影響を与えるのでしょうか?

今回の結果をみる限り、少なくとも令和3年1月から6月までの期間について、国税庁が大幅な地価下落といった状況として減額補正を認める可能性は、低いのではないかと考えられます。また、今後もコロナ禍という経済的要因による減額補正が行われる可能性も低いといえるのではないでしょうか。

1.都道府県地価調査の結果

令和3年都道府県地価調査の結果による地価の動きをみてみましょう。(1) 全国
全国をみると、全用途平均は2年連続の下落となりましたが、下落幅は縮小しました。(2) 三大都市圏
東京、名古屋、大阪の三大都市圏の全用途平均は、横ばいから上昇に転じました。
住宅地は下落から横ばいに転じました。商業地は9年連続の上昇となったものの上昇幅は縮小しました。工業地は8年連続の上昇で、上昇幅が拡大しました。(3) 地方圏
全用途平均・住宅地は下落が継続しているものの下落幅が縮小しました。商業地は2年連続の下落となり下落率が拡大、工業地は下落から上昇に転じました。
地方圏のうち、地方四市といわれる札幌市、仙台市、広島市、福岡市では、いずれの用途でも上昇を継続していますが、全用途平均・商業地は上昇率が縮小し、住宅地・工業地は上昇率が拡大しました。
地方四市を除くその他の地域においては、全用途平均・住宅地は下落が継続しているものの下落率が縮小、商業地は下落が継続しているものの下落率は同じ、工業地は下落から上昇に転じました。2.相続税路線価との関係
次に、地価調査価格と相続税等の評価に用いられる相続税路線価との関係について、みてみましょう。(1) 相続税路線価
相続税路線価は、地価公示と同一の毎年1月1日が評価時点です。他方、地価調査価格の評価時点は毎年7月1日であり、両者には半年の時間差があります。
相続税路線価は、時価とされる地価公示価格の水準(=地価調査価格の水準)を100%とした場合、概ね80%程度を目途に評価されています。この差(20%)は、路線価の評価時点以降、大幅な地価下落が起こったような場合に、相続税評価額が時価を上回らないための余裕部分と捉えることができます。(2) 新型コロナウイルス感染症の影響
今回の地価調査の結果をみる限り、いずれも年間の下落率が20%以内に収まっていることから、まず令和3年1月から6月までの期間について、国税庁が大幅な地価下落といった状況を背景に、減額補正が行われる可能性は低いのではないかと考えられます。
また、今後についても、ワクチン接種率の向上など様々な要因を踏まえたときに、少なくともコロナ禍という経済的要因によって地価が極端に下落することはなく、昨年のように一部地域とはいえ、経済変動による路線価の減額補正が行われる可能性は低いといえるのではないでしょうか。
土地の相続税評価に関するご相談は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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2021年11月5日
万一に備えるための~保険の相続対策 生命保険の内容を確認するには

生命保険の内容を確認する際のポイントを教えてください。

父の体調が悪化し、家族で今後のことを話し合うようになりました。その流れで父の財産についても整理しています。生命保険関係の書類が様々あり、どれを見ればよいのかわかりません。内容を確認するポイントを教えてください。

生命保険の内容を確認するための資料として、契約する際に受領する「保険証券」、契約後に保険会社から年1回届く「ご契約内容のお知らせ」などがあります。これらをもとに生命保険の内容を確認することになりますが、これらに記載されている用語の意味を理解しておかれるとよいでしょう。


1.生命保険の契約内容を確認する際の資料
生命保険の契約内容は、基本的に「保険証券」に記載されています。この「保険証券」は、契約が成立した後、保険会社から契約者に送付されます。この「保険証券」以外にも、契約後、保険会社から年1回届く「ご契約内容のお知らせ」でも、おおよその内容を確認することができます。
最近では、契約の途中で解約や内容を変更した際、保険証券を提出せずに手続きが完了することもあり、手元の保険証券だけでは最新の内容が確認できない場合もありますので、「ご契約内容のお知らせ」と併せて確認しておくとよいでしょう。2.主な用語とその意味
上記1.の書面から内容を理解するには、書かれている用語の意味を抑えておく必要があります。以下、主な用語とその意味を一覧にしました。参考になさってください。(1)人に関すること
用語 | 意味 |
---|---|
契約者 | 契約内容の変更などの権利と保険料支払いの義務を負う人 ※実際の保険料負担者とは一致しないこともある |
被保険者 | 保険の対象となっている人 |
受取人 | 契約者が指定した保険金、給付金、年金などを受け取る人 |
(2)保険の種類に関すること
用語 | 意味 |
---|---|
主契約の保険種類 | 保険契約のベース(本体)となる部分 例)定期保険、養老保険、個人年金保険、医療保険、こども保険など |
特約の保険種類 | 主契約に加えて保障を充足させるために付加した契約 例)定期保険特約、災害割増特約、傷害特約、入院特約、通院特約、がん診断給付特約など |
(3)金額や期間に関すること
用語 | 意味 |
---|---|
保険金 | 被保険者が契約で定められた支払事由(死亡・満期など)に該当したときに受け取れるお金 例)死亡保険金、特定疾病保険金、満期保険金など |
給付金 | 被保険者の入院などで受け取れるお金 例)入院給付金、手術給付金など |
保険料、保険料払込期間 | 契約者が契約を継続するために保険会社に払い込むお金、払い込む期間 |
保険料の払込方法 | 保険料を払い込む回数と払い込む経路 例)月払、半年払、年払、一時払、前納、預金口座振替、クレジットカード、勤務先の団体扱い |
保険期間、保険料払込期間 | 保障が続く期間(保障が終了する日)、保険料を払い込む期間 |
複雑な保険契約も多く、内容によって税金の扱いも異なります。相続に関するご相談は、当事務所にお気軽にお問合せください。
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